初秋の那須塩原を歩く

観光の新しい形としてマイクロツーリズムが注目されていますね。2時間以内で移動できる近隣で日帰り、もしくは宿泊の旅行という意味らしいんですが、そうなるとまさにこの「BONのとちぎ散策」こそ、マイクロツーリズムじゃないかと! 

秋に向かうこの時期、今回は温泉地としても知られる那須塩原を散策したいと思います。とりあえず、那須塩原の入り口、道の駅「湯の香しおばら」に寄って、観光情報を仕入れます。平日の朝ですが、道の駅は新鮮な野菜などを買い求める人たちでけっこうな人出です。気になったのはその近くにある田んぼアート。毎年、変わっているようですが、今年は一体なんなのか?

なんとも言えない田んぼアート

なんと、2020東京オリンピックでした。しかも延期……。考えてみると稲で作っているのだから田植えまでに図柄を決めるはず。田植えってゴールデンウィークの頃ですよね。よく延期に対応したなと。少し歩いたところにもう一つの田んぼアートがありました(9月の下旬までは見られる予定です)。

スリル満点!「もみじ谷大吊橋」

道の駅を後にして登り坂を進んでいくと「もみじ谷大吊橋」があります。吊り橋を渡るには300円の入場料が必要です。

全長320mの吊り橋からの景色はなかなかです。吊り橋と聞くとめちゃくちゃ不安定で揺れまくるイメージがありますが、ガッシリとしていて不安感はありません。しかし、立ち止まってみると微妙に、いや、そこそこ揺れています。左側通行なのですが橋の真ん中には金網があり隙間からは塩原ダム湖が見えます。きっと、高いところが苦手な人は厳しいシチュエーションですね。

恋人の聖地もあります

橋を渡ったところに「恋人の聖地」の像があります。

ん? なんか前にもこんなものを見た気がするぞ? と思って記憶をたどると、野木町の煉瓦窯が恋人の聖地として登録されていました。

この恋人の聖地って一体なんなのさ? と思って調べてみると、2006年から全国の観光地でプロポーズにふさわしいロマンチックなスポットを恋人の聖地として選定しているそうです。なんと全国で140箇所ほどあるようです。この日も何組かのカップルが来ていましたがプロポーズしている様子はありませんでした。

絵になる塩原ダム

奥に行くと塩原ダムが見られます。ダムカード風の写真が撮れるスポットもあります。

天皇の間記念公園は見事!

さらに道をクネクネと上がって行くと、温泉宿などがチラホラと見えて来ます。そんななかに天皇の間記念公園があります。天皇の間記念公園は1904年に県北散策ではおなじみの三島通庸の別荘だったものを宮内省に献納、その後、御用邸として1946年まで利用されていました。入ってみると建物も立派ですが、庭園がとても見事です。

この時代のものは見事に和と洋のバランスが取れていて大好きです。電気のスイッチ、竿縁天井から下がる洋風の照明など、見どころが満載です

大正天皇の幼少時の写真がありますが、驚いたことに小太郎ヶ淵で撮影された写真がありました。

小太郎ヶ淵の茶屋で涼をとる

天皇の間記念公園を後にして、小太郎ヶ淵に向かいましょう。道がとても悪いので、車高の低い車は気を付けてください。しばらく進むと少し道が広くなり、駐車している車が何台か見えます。小太郎ヶ淵に到着です。小太郎ヶ淵は川の流れと木陰で涼を感じることができます。それを求めてか平日なのにけっこうな賑わいでした。

ここには茶屋があります。メニューはとてもシンプルでそばとうどん、おでん、ところてん、草だんごの4種類。草だんごは外せないのですが、昼食も兼ねて、そばか、おでんか迷います。そばが食べたいのですが、どうしてもおでんが気になります。結局、そばとおでんと草だんごを頼みました。なんだか「孤独のグルメ」みたいなオーダーの仕方になってしまいました。

そばは天ぷらやきのこがたくさんのっていて、けっこうなボリューム。おでんも味がしみていて、やさしい味わいであっさり完食です。しかし、この日は気温30度を超える暑さ。小太郎ヶ淵がいくら涼しい場所でも、あたたかいそばと、おでんを食べると、汗が吹き出しました。暑い時にこそ、熱いものを食べるほうがいいともいいますから、きっと健康にはいいのでしょう。

さて、お待ちかねの草だんご。あんこと、きな粉の定番王道の組み合わせに一緒についてくるのはあたたかいお茶……。(もちろんメニューには冷たい飲み物もあるのでオーダーすれば冷たい飲み物も飲めます)

草だんごの爽やかな香りとあんこの甘さ、きな粉の香ばしい香り、そしてあたたかいお茶で口をリセットして、また草だんご……。無限ループしたい幸せな時間です。

完食しました! 少し、小太郎ヶ淵を歩いてみましょう。景色もいいし、水もきれいでかなりリフレッシュできます。那須塩原のおすすめスポットです!

小太郎ヶ淵の由来

そうそう、後日、「小太郎ヶ淵」の名前の由来を調べてみると、小太郎さんにまつわるお話がありました。

一つは、豊臣秀吉が天下を統一した頃のお話。四代目塩原城城主であった橘朝臣は重税で民を苦しめていました。見兼ねた家老たちの策略で朝臣は殺されてしまいます。新しく城主になったのは息子の小太郎でした。小太郎は、家老たちが父を殺したことを知り、仇を打とうとしますが返り討ちにあい、追い詰められて身を投げてしまいます。その場所が「小太郎ヶ淵」という名前になった説(他にも仇を打った小太郎が数年後に自殺した説もあります)。

もう一つは、小太郎が釣りをしていた時に自分の袴からクモの糸のようなものが淵まで伸びているのに気づきます。その糸を大木に結び、釣りを続けていると大木は淵に引きずり込まれてしまいます。その糸は淵の主である魔物が出していたものでした、というお話。どちらにしても、のんきにだんごを食べている場合じゃないですね。足に糸がついてないか、注意する必要があるでしょう。

このあとは源三窟、SUZUの森cafe、塩原ものがたり館、金色夜叉にまつわる場所を歩きます。塩原七不思議の話もありますが、長くなるので後編でお話します!


■ 千本 義信

1975年、栃木県大田原市で生まれる。中学生の時に親にカメラを買ってもらい、うまく撮れないことが悔しくて写真を撮り続ける。次第にカメラと写真の魅力に取り憑かれる。高校生になって憧れの写真部に入る。大会などにも参加して部長の地位を獲得。この頃には運動も勉強もできない私が進む道はカメラマンしかないと思い込む。高校を卒業し上京、東京ビジュアルアーツ写真学科へ。2年後、ギリギリの成績で卒業。その後、栃木県に帰り、印刷会社や写真スタジオのカメラマンを経て、2012年にフリーランスに。雑誌、企業広告、建築物、料理、商品撮影など、たくさんの人に支えていただき、今日もどこかで撮影中。