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西刑部町 H邸
●延床面積/35.7坪 ●入居日/2019年12月 ●家族構成/夫妻 + 長女 ●設計・施工/牧田工務店

平屋風の和モダンの家

宇都宮市の郊外の分譲地に、H邸はありました。ダークブラウンを基調にした和モダンの外観で、南側から見ると片流れの大屋根で平屋のように見えます。が、北側の玄関に回ると2階建てで、東側には「月見台」と呼ばれる小さなウッドデッキがありました。

平屋風のお住まいをご希望だったHさん。「将来のことを考えて1階で生活ができる住まいがいいと思っていました」。

ここにお住まいになるのは、Hさん夫妻と4歳の長女。「子育てのことをいちばんに考えて土地探しをしていました」とのことですが、距離のある夫妻の職場や、長女の学区のことなどを考えるとなかなか見つからず、土地探しには数年かかったそうです。

インターネットで毎日チェックをしていたある日、この土地を見つけた夫のMさん。住宅街の大きな通りに面していて、日当たりも充分、スーパーも徒歩圏内、通っている保育園も近く、好条件。「ネットに出たその日に見つけ、すぐに不動産屋さんに電話しました」というほど、理想的な土地との出会いでした。

「水槽」がリビングのデザインのポイントに

土地が決まり、いよいよ住まいづくりです。夫妻は数社の建築会社にプランをお願いしたと言います。その中で選んだのは、地元の工務店。提案されたプランのスケッチを見て驚いたといいます。Mさんの「家を建てたらメダカを飼いたい」という言葉がリビングの設計に反映されていたのです。

建築会社が提案してきたプランのスケッチ。「メダカを飼いたい」というMさんの思いが、反映されている。

「ほかの会社もとても魅力的なプランを出してくれました。ただ、この建築会社が夫の<水槽を置きたい>という言葉をプランに入れてきてくれたのでうれしかったです」と妻のEさん。

漆喰の白い壁に、絵画のように水槽が浮かび上がるそのリビングは、家族の癒しとくつろぎの空間になりました。調湿効果の高い漆喰壁、木のぬくもりあふれる空間に、水槽で涼しげに泳ぐメダカたち。自然の空間にいるようで、心地良さ満点!Mさんは「ここに座っているだけでリラックスできます」。

水槽の真向かいがMさんの定位置。水槽を眺めているだけでも楽しいとか。「ステイホームの日々も家にいるのが楽しいです」とご夫妻。

月見台は家族の遊び場

このお住まいにはユニークな「月見台」があります。当初これは夫妻の要望には入っていませんでしたが、月見台のあるモデルハウスを訪れたとき、長女がその開放的な空間を気に入り、何度も足を運んでいたそうです。

「この子が月見台へ何度も行ってはヤッホーと(笑)。その様子を見ていた建築会社が設計図に盛り込んでくれたんです」。夏にはここでかき氷を食べたとか。家族のちょっとした遊びの空間となっているようです。

長女のお気に入りの月見台。ここは家族の遊びの空間。

趣味部屋は家族それぞれの活動の場

また、このお住まいにはユニークな空間があります。リビングの横に設けた「趣味部屋」で、空間の真ん中に4面が使える収納棚があり、回遊できるようになっています。ピアノやデスクが設置されており、まさに家族それぞれが自分の趣味を楽しめる空間。収納量も十分で、今後、学用品や本が増えても収納できるように、サイズも想定してあります。

リビング横の趣味部屋。ピアノやデスクが設置されており、さまざまな用途で使える。

1階で完結できる平屋風の間取り

このお住まいは、「できるだけ平屋風の生活がしたい」という夫妻の要望で、ほとんど1 階で生活が完結できる間取りになっています。2階には子ども部屋と寝室がありますが、現在は予備室的な使い方をしているそうです。

1階の水まわりの近くには、ファミリークローゼットがあり、収納にも工夫が。和室の内干しスペースは外干しスペースも並列してあり、スライドすれば横のクローゼットに収納でき、家事動線が短いのも大きな魅力です。

寝室としても使用する和室。外干し、内干しスペース、クローゼットもあり、洗濯物の家事がスムーズに。向かい側には大型のファミリークローゼットも。

自然と片づけられる住まいに

H邸はどこを見ても「すっきり」という言葉がぴったり。しかし、以前のお住まいでは「片づけられない」というのが妻のEさんの悩みだったとか。その悩みに建築会社が応えるかたちで、家の適材適所に収納を設けてくれたといいます。その収納棚はすべて造作! 入れる物の大きさや使い勝手によって工夫されており、それは見事です。

たとえばキッチンの収納棚には水のサーバー置き場が。その下にはストックの水のタンク(2個分)の置き場所までぴったりサイズで造作されていました。水のタンク収納はワゴンになっており、重いタンクもすっと引き出せます。

屋外収納もあり、タイヤやゴルフの道具なども収納できるので、物置は不要。キッチンは使いやすいコの字型に。引き出しや棚が多く、食品も食器も調理器具もすべて収納。

使う場所に収納を設けること

玄関には大型の靴箱のほかに、半畳ほどの土間収納があり、家族のバックやジャケット類が収納できます。引き戸を引けば、玄関からは見えないので、急な来客時にもあわてなくて済むのがうれしいところ。

「片づけられる家になりましたね。たとえばリビングのメダカの水槽ですが、その道具や餌など必要な物は、その裏に収納庫があって、使ったらそこに置けばいいので、片付ける必要がないんです」とEさん。たしかに、使う場所に、収納スペースがあれば他の場所にしまうという手間がなくなります。

メダカの水槽の裏側にも収納庫が。稚魚を入れる水槽や餌や道具も余裕の収納。玄関には引き戸で隠れる土間収納。棚があり、バッグも上着もたっぷり入る。

「大工さんが大変だったようです。この家は造作家具が多いって(笑)」どこの収納も空間に余裕があり、物がどこにあるか一目瞭然。「物が少ないわけではないと思うのですが、スペースがあまっていますね」というのは、羨ましい限りです。

外構も建物とトータルコーディネート

もう一つ、H邸の特長は、庭のデザイン。コンパクトで美しく、まとまりがあります。夫妻が依頼した建築会社は、「建物と庭をトータルに考えてこそ、心地よい暮らしが生まれる」という考えだったため、トータルで設計・施工を依頼。その建築会社は家や庭に愛着を持って、メンテナンスも自分たちでできるように、施主と一緒に内壁や外壁の壁を一緒に塗ったり、庭の木を植えたりするのだそうです。

「手入れの仕方を聞き、アドバイスもいただきました。実際にやってみると大変でしたが、とても楽しかったです」と夫妻。今は、ガーデニングに興味がわき、家族でホームセンターに行くことも増えたといいます。

建物と庭をトータルコーディネート。玄関まわりの花は長女がセレクトし、楽しみも倍増。リビングの大きな窓からは落葉樹が見え、四季の移ろいを感じられる。

建築会社との出会いが暮らしを変えた

取材中、Hさん夫妻の口からは何度も建築会社の名前が出てきましたが、「本当に建築会社のおかげなんです」とのこと。たとえば、「以前の住まいでダイニングテーブルがあるのに使わずに、床に座って生活していたという話をしたら、<ダイニングではなく、畳リビングにしましょう>と提案してくれたんです」。そんな提案が住まいのいたるところに感じられました。

どこまでも施主の暮らしに寄り添おうとする建築会社と、自分たちの暮らしをイメージして伝えてきたHさん夫妻の情熱があってこそ、実現したお住まい。シンプルでありながらも、個性ある心地よい暮らしがここにありました。