蝶の標本は転写シートで。ケースも自作

心のときめきが、この手を動かす

「創作活動をはじめたのは、物心がついた頃から。ものをつくるのがとにかく大好きな子でした」と、一円玉よりも小さいミニチュア作品をそっと手のひらにのせてくれた、ハンドメイド作家・昨日の森mimosaさん。それは、小さな小さなフルーツタルト。

その緻密な手仕事に静かに感動しながら、何気なく視線を落とすと、作業台として普段から使っているテーブル台には、いくつもの細かなキズが。長い時間、同じ場所に座り続け、淡々と作業をし続ける……そんな姿を思い浮かばせる無数のキズ。早速、mimosaさんに作家としての思いをきかせていただきました。

硬貨サイズのミニチュア作品

刺繍、レジン、ミニチュアなど、多様なジャンルでそれぞれに作品を作り続けるmimosaさんですが、心をときめかせる風景やものに出会うと、その魅力を自分の作品としてかたちにしたく、制作レシピもないままに自然に手がでてしまうそう。最近では羊毛フェルトのウサギの人形を制作。mimosaさんは「あれもこれもやりたくなって、やってみたら収拾がつかなくなりました」と、苦笑いするのでした。

誰かに見せたいというより、自分が見てみたい

「新しいものを作るときはワクワクします。新しいものを作るには新しい技術が必要ですよね。すると自然に、自分がどんどん新しい技術を身に付けられる。そんな前へ、前へ進んでいく感じが、とても楽しいんです」

18歳で訪れたパリの街。そこで、フランスのアンティークに魅了されたmimosaさん。高級品でもあるアンティークを、いくつも手に入れることは難しい。それなら自分で作ってみたらどうかと思ったのが、創作テーマのきっかけとなったそうです。誰かに見てもらいたい、販売したいというわけではなく、ただ自分が作りその世界を見てみたいという思いが、mimosaさんの創作活動の柱となりました。

レジンとビーズで制作したアクセサリー

これからもきっと、私は作り続けていく

現在はドールハウスを制作中。羊毛フェルトの人形、ミニチュアの雑貨、木工の家具などありとあらゆるものを、時間をかけていねいに手作業で仕上げていきます。本棚に収まった小さな本すらも製本。見えない部分を手作りすることも、mimosaさんのこだわりです。

「このドールハウスは、今までいろいろなことに手を出していたことが、ようやく起結する場所なんじゃないかと思っているんです」まだ作りかけのドールハウス。そっとのぞいてみると、小さな作品の一つひとつにmimosaさんの世界が広がっています。

小花を閉じ込めた人気のレジン

「正直、大変なことばかりで、後戻りできないことに後悔すら覚えるんですけれど、それでも作り続けてしまう。売れなくてもいいから、作り続けてしまう。自己表現のひとつとか、かっこいいことが言えればいいんですけれどね。作らないと死ぬ病なんですよ、きっと。だからこれからも、私は作り続けていくんです」

刺繍で作り上げた蝶のブローチ

昨日の森mimosa

宮城県出身。幼いころから、ものづくりを得意とし、本物の花をつかった樹脂アクセサリーや絵、刺繍など多岐にわたり制作活動を展開。現在はミニチュアや木工制作にも手の伸ばし、ファンを魅了している。作品はイベントや委託店舗で販売。
https://www.instagram.com/kinounomori_mimosa