栃木ならではの食材を大切にし続ける笠原さん

「オイシイモノハ ヒトヲシアワセニスル」

「栃木イタリアン」のおいしさを届けたい

料理人、そして経営者として多忙な日々を送る「Maruyoshi」の代表・笠原慎也さん。酒屋の3代目として家業を引き継いだ笠原さんは、その酒屋だった店の2階をレストランとして改装。地産地消を軸とした「栃木イタリアン」という新たな食のジャンルを確立し、一躍、栃木を代表する人気店となりました。

「栃木には野菜や果物はもちろん、「那須鶏」や、那珂川産イワナ、ヤシオマス、アユなどたくさんの素晴らしい食材があります。そんな栃木の自然によって育まれるさまざまな食材の味わいを、まずは地元の人に知ってもらいたかった。自分たちが暮らす栃木には、全国に誇れるほどの立派な食材が豊富にあるんだということを、みんなに気づいてもらいたかったんです。そこで僕は存分にその魅力を楽しんでもらえるよう、これまで栃木の食材をメインにした『栃木イタリアン』を提案してきました」

地元に戻り、あらためて地元食材の素晴らしさに感銘を受けたという笠原さん。どんなに忙しくても生産者や食材と向き合う、現場第一主義を貫いています。 

店頭のショーケースに並んでいる「トマトのフレンチオニオンドレッシング」は、笠原さんのお母様の得意とする家庭料理だったそう。今では定番の人気レシピとなったこの味も含め、自分の作るすべての料理のルーツは、いつもの食卓に並ぶ母親の手料理にあったのかもしれないと、笠原さんは懐かしそうに話すのでした。

季節の食材を使った色鮮やかなデリがショーケースに並ぶ
味はもちろん、ボリュームも大満足のデリは前菜からメインまで揃う

人を幸せにする「オイシイ」の言葉

「オイシイモノハ ヒトヲシアワセニスル」。この言葉は、笠原さんのレストランのメニュー表に書かれていたものです。笠原さんの料理人としてのスタンスがダイレクトに伝わってくる一言です。では、笠原さんにとっての「オイシイモノ」とは一体どんなものなのでしょうか。

「僕にとって『オイシイ』は『楽しい』にちかいもの。食材を作ってくれる人がいて、料理を作る人がいて、それを食べてくれる人がいる。それぞれをつなげてくれる一皿を通じて、みんなが楽しくなってくれればいいなっていう思いなんです」

生産者、料理人、食べる人。このつながりを結ぶものが、おいしさでもあり楽しさでもある。それは、きっと人を幸せにしてくれるもの。料理人を目指したその瞬間から、笠原さんはそう信じ、今も変わらず思いを込めた一皿を届けているのです。

接客はやりがいを感じる瞬間

レストランの厨房から、その先の世界へ

今年の春には宇都宮市、栃木市、日光市と県内各地で店舗を展開することになる笠原さんは、ベーカリーカフェ、デリカテッセン、バルと各店異なるスタイルで「オイシイ」をアプローチ。現在レストランは休業中ですが、酒屋の2階ではじめた小さなレストランの厨房から、その先の世界へ。「オイシイ」を届けに、笠原さんは今日も走り続けます。

「僕は、本場イタリアの味を表現するたいそうな料理人にはなれませんから(笑)。ただ、栃木の食材を使い、自分の経験を生かして、みんなを幸せにできる『オイシイモノ』をつくりたいだけ。この思いがいろんな場所で広がっていけるよう、これからも変わらず厨房に立ち続けようと思っています」

栃木の食材を愛し、笑顔のあるあたたかな食卓の風景をつくる料理人。厨房から思いを込めて、笠原さんは今まさに、種のまきどき。これから、その種が各地でどんな花を咲かせ、たくさんの人を笑顔にさせていくのでしょう。

「オイシイ」の種が芽吹くのは、もう間もなくです。

東武宇都宮百貨店栃木市役所店に昨年オープンしたデリは「04DELI」と命名。「04」は「マルヨシ」や「オイシイ」、「4店舗目」、「4時(夕飯の事を考えたときに店を思い出してほしい)」という意味が込められている。

笠原慎也さん

宇都宮市在住。高校卒業後、料理人の道を目指し大阪の専門学校へ入学。卒業後、府内の料理店で腕を振るい、宇都宮市光が丘団地にある「まるよし酒店」の3代目として跡を継ぐためUターン。2004年、店を改装し「サカヤカフェ マルヨシ」をオープン。現在は同店の敷地内で「天然酵母パン&Sweets Rhythble」と「cafe canaria」、栃木市の「04DELI」を経営。今年3月に、日光市に炭火焼チキンをメインにしたバル「Manten chicken grill nikko」をオープン予定。