次々に鮮やかな色を重ね、奥行きのある作品に仕上げるアライさん

イラストレーターアライマリヤさんの絵本作家の夢

「受験勉強をするなら、美術の勉強をしたいと思ったんです」

もともとは絵を描くより、見ることのほうが好きだったというイラストレーターのアライマリヤさん。進路を決定しなければならない高校3年生の時、受験勉強をするのなら普通科目ばかりでなく、前々から興味があった美術の勉強をしてみようと決意。そうしてアライさんが選んだ進路は、日本美術史を学べる大学でした。

卒業後は美術講師として中高生を指導していたアライさんでしたが、次第に指導するのではなく、自分で「絵本を作ってみたい」と思うように。そして制作することにもう一度真剣に向き合いたいと、絵本制作にかかせないイラストレーションの道へと方向転換したのでした。

ブックカバーなどステーショナリーグッズも制作

今はまだ、寄り道の真っ最中

季節の移ろいや日々の暮らしの風景などを、やさしいタッチでていねいに描くアライさんのイラストレーション。ページを彩る挿し絵やショップの販促グッズのデザインだけではなく、自ら“紙雑貨屋”としてオリジナルポストカードやカレンダー、レターセットなどさまざまなアイテムの制作も展開。この秋からはデザインを手がけた雑貨を、全国販売することも決まっています。

また、2015年から活動を始めた、シンガーソングライターとして活躍するarcoさんとの映像ユニット「マリアル」では、アニメーションとイラストを担当。一人で机に向かうときもあれば、子どもたちと一緒に絵描き歌を楽しむときもあるアライさんの日々は、本人いわく“寄り道”の毎日。一見遠回りしているようですが、本職を「絵本作家」としているアライさんにとっては、夢のカケラを拾い集め、作家活動のエネルギー源とするかけがえのない時間になっているのかもしれません。

作品タイトル「うさぎおどる」
作品タイトル「むかしむかしあるところに」

「自分の絵が下手過ぎて、今でも半泣きしながら描くときもあります」

少しはにかんだ表情を浮かべ、こんな意外な一言を呟いたアライさん。「佐々木マキさんのように、シンプルなイラストレーションに憧れるけれど、自分の手の癖や作風もあり、思うように描けないんです」と言います。だからこそ、アニメーション制作で1枚でも多く描くために「マリアル」のような活動を思いついたんだそう。控えめな雰囲気をもちながらも、ストイック。自信がないと言いながらも、意志は固い。夢に向かって忠実であることも、アライさんの素敵な魅力です。

「絵本作家」という着地点にたどりつくために、今は寄り道の最中。アライさんは、一冊の絵本を完成させる、そのときのために、何気ない日々の暮らしに寄り添いながら、今日も真っ白い画用紙に夢を乗せて、思いのままに筆を走らせるのでした。


アライマリヤ

宇都宮市在住。原田治氏創設のイラストレータースクール「パレットクラブ」13期絵本コースを受講。絵本作家を志し、2009年よりフリーで活動を始める。2012年頃より雑誌やwebサイト等で活躍。さらに、2015年9月にシンガーソングライター・arcoと映像ユニット「マリアル」を結成。映像作品の配信や、生演奏絵描き歌などのパフォーマンスを行っている。
https://araimariya.com