花壇になじむオオジシバリ(黄色の花)

雑草は取らないといけない?

「草取りしようにも、どれが雑草なのかわからなくて…」というご相談をときどき受けます。草ボーボーだから雑草はとらなくちゃ、という気持ちはあるけれど、どれを抜いたらいいのかわからない、というわけです。自分が植え育てた庭ではなく、中古住宅だったり、庭はプロにまかせてつくってもらったりした場合、何が植わっているのかわからず、とまどってしまう方もいるのでしょう。

雑草という植物はない

しかし、植物学的には雑草という分類はないのです。どの草花も学名や和名がついていています。では、一般的に「雑草」といわれる植物は、どんなものでしょうか。

  • ● 生えてほしくない場所に生えている。
  • ● 繁殖力が強く、増えやすい。
  • ● 他の植物(主に植えた園芸植物)の生育を邪魔する。

この判断は人によっても変わります。その場所にとって不要であり、邪魔な植物と思えば「雑草」になるということですね。つまり、雑草かそうでないかは、その植物に相対した人間の主観なのです。園芸植物(鑑賞や利用のために育てられている植物)でも、ミントやエリゲロンのように雑草化するものもあります。

こぼれ種で年々増えるエリゲロン。あふれるように咲くのがかわいいが、他の植物の邪魔にならない程度に減らすことも。

育てるか、抜くかは自由

雑草と言われる植物でも、庭に似合っていたり、かわいくて好きだったり、利用してみたいと思ったら、抜かなくていいし、増やしてもいい。一方で、自分の庭に不要だったり、近隣に迷惑になりそうだったり、生い茂っていることで「ちゃんと管理してない」と思われるのが嫌だったら、できるだけ小さなうちに抜いてしまえばいい。どんな植物かわからなければ、少し成長の様子を見守ってみてもいい。どう対処するかは自由なのです。

ヒメオドリコソウ。かわいい花を楽しんだら、終盤はうどん粉病にかかりやすいので抜くことにしている。

利用できる植物も多い

雑草とされがちな植物でも、見方によってはさまざまな利用ができます。たとえば、はびこるので厄介者扱いされることが多いドクダミは、雑草図鑑にも、園芸図鑑にも、野草図鑑にも、ハーブ(有用、薬用)植物図鑑にも載っています。

本によって、雑草との向き合い方もさまざま。

茶道を志していた私の祖母は「茶花になるのよ」と、ドクダミを一輪つんで玄関に飾っていました。でも放っておいては増えて他の草花が負けてしまうので、一部だけ花を楽しむために残し、大半は抜いていたように記憶しています。私は、お客様のところで不要となったドクダミを少しいただいて、乾燥させてお茶にしたり、お風呂に入れたりします。

雑草は良質な土づくりに活用できる

 世間一般では、「雑草は抜くべきだし、伸ばしっぱなしはみっともない!」と考える人が多いかもしれません。でも逆に、農業の自然栽培など、その土地(自然)の力を生かし利用して植物と付き合っていく考え方では、その土地に生えてくる草花(一般で言う雑草)は、欠かせない存在です。

  • ● 土壌のバランスを整える
  • ● 生物の多様性を生み出す
  • ● 枯れた地上部は土や生き物の栄養分となり、根が枯れた跡は水や空気の通り道となる

などなど、さまざまな効用があり、上手く利用することで生き生きとした健康な土を作ります。

花壇に生えてきたカラスノエンドウ。マメ科の植物は、空気中のチッ素(三大肥料分の1つ)を土壌にとりこみ、土を肥やしてくれるありがたい存在。刈った葉はそのまま土に寝かせておくとよい。

増やしたくない植物への対策は早めに

広げたくない植物は、残す範囲を決めたら、それ以外は成長する前に早めに抜いたほうがよいでしょう。繁殖力のある植物、とくに種で増えるタイプは花が咲いてから種ができるまであっという間です。花が咲く前に抜いたほうが安心です。根で増えるタイプは、地上部が茂るスピードに比例して根もどんどん広がります。葉がなければ根もそれ以上は成長できないので、葉が生い茂る前に抜けば翌年以降の発芽を減らせます。除草したいと思ったら短時間でもコツコツと、早期に対応することがポイントです。

忙しい日常の中では、「草取りをしなくては。」と思うと、なかなか取りかかるまでは腰が重かったり、時間が取れなかったりするので、毎日のルーティンの中で少しずつ草取りするのがおすすめです。私の場合ですが、こどもが幼稚園バスを利用していた頃、バスを待つ間の数分だけ、こどもと一緒に楽しみながら庭仕事をするようにしていました。その頃は、まとまった時間を作って庭仕事しなくても、平日数分のガーデニングだけで管理が行き届いていたように思います。

  • ●ゴミ出しをしたら、庭を1周楽しみ、1本だけ草取りをする(1本抜くと、もう少し抜きたくなるはず)。
  • ●朝出かける前に5分だけ庭の手入れをする。

ぜひ無理のない範囲でルーティン化してみてください。雑草だけでなく、庭の植物や生き物など、四季の移ろいを細やかに感じとれて、癒しの時間になることでしょう。

抜き方のコツ

植物の根の形や性質によって、抜き方のコツもあります。たとえば、根で増えるタイプ(ドクダミやミントなど)は地下茎でつながっているので、数本まとめてつかみ抜くと、つながったままで抜けやすいです。ニンジンのように太い根が真下に伸びていくタイプ(タンポポやアザミなど)は、時計回しにねじりながら抜くと気持ちよく抜けます。土が固くて手だけでは抜けない時は、鎌で根元周囲の土をほぐすようにすると根っこごと抜けやすくなります。

草むしりに便利な道具

草むしりは手で抜いてもいいのですが、鎌があると便利です。砂利や芝の中の草を抜くには、短いノコギリ鎌がとても便利。花壇の中等、育てたい植物と絡み合って生えている部分は小鎌(手鎌)がおすすめです。鎌は、メーカーにより名称が異なっていたりするので、じっさいに手にとって使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

短いノコギリ鎌(左)は砂利や芝地の除草に。小鎌(右)は除草の万能選手。

庭は自分の好みでいい

住宅地の庭は、隣地との距離も近く配慮は不可欠。面積が限られているけれど、あの花もこの花も育てたい。美しい庭にしたい。野趣あふれる庭にしたい。さまざまな思いがあるなかで、雑草をどうにかしなきゃと考えたとき、何を不要とし何を生かすかは、柔軟な心で植物に向き合って判断していきましょう。

私自身も「自然な庭」が好きなのですが、模索中です。自然のなかでは、植物は自然とその土地に優位なものが残ってバランスを取っていくのだと思いますが、庭はオーナーがある程度、かたち決めていかなくてはなりません。多種類の草花がぶつかりあったりせず、のびのび育つスペースが確保できているかをよく見極めて、窮屈そうなら間隔を拡げたり、引き算をするようにと私は心がけています。迷ったときは自然が先生です。

ナチュラルな庭をつくりたいけれど、ボサボサな庭に見えたくないという場合、高低差のバランスを考慮したほうがよいでしょう。同じ高さのものばかりが隣り合っていると、枝葉の伸ばす範囲が競合してしまうので、草姿が違うもの(背丈が低い高い、シュッと上に伸びる、こんもり茂る)を組み合わせると、バランスがよくなると思います。庭づくりは主観によるところが大きいので、こうしなければならないと思わずに、自由に楽しんでほしいと思います。


ガーデンヘルプかぐみえん

代表・小林かぐみ
宇都宮市および近隣地域で庭の管理のアドバイスや、花壇植栽、メンテナンス作業を行う。ナチュラルな庭づくりに定評のある自然を愛するガーデナー。