木の床、勾配天井、腰壁、折れ戸により一体感が増します。

40坪の土地に広い庭のある住まいをどうつくる?

今回は『リビングとバルコニーの家』を紹介します。この家は東側に道路、南、西、北は隣地という敷地面積40坪程度の栃木県では比較的高密度の住宅地に建つ住まいです。

友達を呼んでBBQができる庭、荷物をおける大きな収納、そして広いリビングがほしいというのがお施主様の大きな要望でした。この中でも「庭がほしい」という要望を叶えるのが、設計する側としてはとても大変でして、40坪程度の土地に駐車場を2台と友達を呼べる広めの庭を確保しようとすると敷地がパンパンなんです。建物を小さくするにも限界がありますし、けっこう悩みました。

リビングとバルコニーは折れ戸により一体的につながります。

2階にリビングとバルコニーを配置

1階には駐車場と建物がきてパンパン……。それなら、と考えたのが2階に庭(バルコニー)を持ってきてしまおうというアイデアです。しかもリビングと一体的に繋げられれば、広がりも確保できます。庭を屋根付きにしてリビングの勾配天井と連続させると、より一体感が増し、さらなる広がりを感じることができます。

2階の庭はプライバシーも確保できますのでBBQも人目を気にせずできますし、ファミリープールを置いてもリビングからも安心してお子さんを遊ばせておくことも可能です。2階にリビングがあると住宅密集地でも南側の建物に影響されることなく光を確保することができます。

住宅地ですが、プライベート性の高いバルコニーです。お子さんとのんびり遊んだり、ハンモックでウトウトするのもいいですね。

お風呂と洗面所も2階に配置

せっかくですからお風呂、洗面所も2階に設置して、雨の日でもおかまいなしの物干しスペースを設け、お風呂に大きな窓をつけて庭に出られるようにもしました。お施主さんにあとから聞いた話ですが、このお風呂からお月様が見えるようです。住宅密集地にいながらお月様を見て、のんびりお風呂に入れるなんて、贅沢なことですね。

あ、もちろんそんなことも想定していましたよ(笑)。

バルコニーがリビングの延長として室内的な用途になったり、BBQスペース、物干しスペースという外部空間になったり、さまざまに姿を変えられるところがとてもいいです。一般的には窓を介して内と外を分けますが、その部分が曖昧になればなるほど、季節や気分により使い方の幅が広がるので、住んでいて飽きのこない楽しい住まいになると考えています。

軒下空間や土間空間、縁側なども内外を繋ぐ良い例です。外にいるのに雨が当たらない場所だったり、室内なのに土足だったり、その固定しない感じが多様な生活を可能にすると思います。住んでみて「あ、この時期この場所は居心地いいな」とか、「ここはこんなに風が抜けるんだ」とか、新たな発見があると思います。

屋根付きバルコニーと連続する洗面は家事も楽ちんです。雨の日でも心配いりません。

自分のイメージのちょっと先に行ってみよう

そのために重要なのは自分が思い描くイメージの少し先に行ってみることです、自分の中でイメージできてしまうとそれ以上も以下もないのです。勇気を出してとんでもない挑戦をする必要はないですが、提案をしてくれる建築士さんを信じて少し想像できないところへプチ旅行を楽しんでみるのもいいと思います。自分にしかわからないその家の良さを発見することができます。

収納を1つにまとめて各部屋に動線をつなぐ

さて、広いリビング、庭を同時に解決しましたが、「大きな収納」を確保しなければなりません。この要望は各部屋の収納をまとめるということで解決しました。寝室に3〜4帖ほどのウォークインクローゼット、子ども部屋は部屋の数に応じて1帖ほどの収納。これが一般的ですよね。この収納をすべてまとめて1つのウォークインクローゼットにします。そしてそれぞれの部屋をこのウォークインクローゼットで繋ぎます。そうすると家族共有の収納になります。

今回はなんとか(空間を)かき集めて7帖ほどの広さを確保しました。家族共有の収納は利点が多いです。まず、単純に広い。それと、将来の変化にも柔軟に対応することができます。子どもが家にいるうちは家族全員の荷物でごった返しますが、子どもが家を出る時はそこが空っぽになり、長く住み続ける夫婦の荷物であふれるという具合です。各部屋に収納をつくるための壁や扉も減りますのでコストも減ですね。

家事動線の視点から考えても1部屋ですべて完結するというのはいいです。部屋に入ったり出たりそんなことを繰り返す必要はありません。1部屋の収納できょうだいのすべての収納は完了です。収納内部に家事コーナーみたいなものを設置してもいいですし、洗面所と繋げれば動線が短くなり使い勝手も向上します。

子ども部屋の中にある収納。これについては前々から疑問を感じていまして、子どもが出て行った後の部屋は、それ自体が収納になることが多いですが、そうなったとき部屋の中にある収納はもうなんなんだろうという感じです。収納の収納みたいな(笑)。そのあたりの無駄を省き、予算も面積もコンパクトにしていきたいですね。

7帖のウォークインクローゼットが主寝室、子ども部屋を繋ぎます。

自分流の空間を繋ぎ方、仕切り方を

内外をゆるやかに繋ぐと、季節や気分により多様な使い方ができるので飽きのこない楽しい住まいになります。せっかくのマイホームですから少し挑戦してみてはいかがでしょう。想像もしてなかった新しい発見があると思います。しかも、自分しかその良さがわからないという特別感付きです。

最後になりますが、できるだけ家族共有にしていくというのもいいです。家族構成等の変化にも柔軟に対応できますし、無駄を減らすことにもつながります。極論ですが、ワンルームの箱をつくり間仕切りはカーテンで、一部を土間にすれば、さまざまな使い方ができそうですし、家族の成長とともにいくらでも変化させていけそうですね。もちろんコスト的にも納得の見積もりが出てくると思いますよ。


荒井 慎司

イン-デ-コード design officeを主宰。1979年2月18日宇都宮市に生まれる。宇都宮日建工科専門学校卒業後、TAKES設計事務所に入社。2008年、独立し、現在に至る。業務内容は、1.住宅、店舗、事務所、インテリアなどの企画、設計・監理、2.リフォームの企画、設計・監理、3.家具のデザイン等。
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