「asahiluyu hair」栃木県壬生町の美容室です。建物をぐるりと囲むプライベートガーデンを一回りして中へ。

夢をふくらませるほどに予算が上がる

家を建てようと思った時、家族のこと、土地の形状や方角、周辺環境、どんな住み方をしたいのか、その他もろもろ考えると思いますが、その中でもポイントとなるのは「予算」だと思います。どんな場所でもどんな住み方でもまず予算がないことにはリアルにイメージすることができません。

設計を始めたばかりの頃、かっこいい家を創りたい一心であれこれ悩み楽しい住まいをたくさん提案しました。フルオープンで広いウッドデッキと繋がる大開口のサッシ、対面型のステンレスキッチンにスタイリッシュなレンジフード、背面収納も大容量で至れり尽くせりの間取り。各部屋も広々、収納も充実させました。外観は塗り壁に大谷石をポイントで使用しパワーアップ。大谷石を照らす間接照明をつければムードアップです。お施主さんの夢に自分の思いを乗せてバッチリ提案させていただきました。

その結果……予算が実現とはほど遠いところに飛んで行きました。

そこからは減額、減額の繰り返しです。建物面積は最小、大開口のサッシは半分、そして1/4になり、ウッドデッキはとりあえず保留、外壁は一般的なサイディングに。そんな作業はとても苦痛で、素敵な住まいを建てたいというお施主さんの夢とかっこいい家をつくりたいという私の気持ちを奪いました。

「リビングとバルコニーの家」屋根付きのバルコニーはリビングと繋がり、使い方は無限に広がります。

コストを抑えながらカッコいい家をつくる!

そのとき、思ったんです。仕上げやデザインの前に重要なのは予算、それをしっかり把握した上で最適な提案をしていかないとお施主さんの夢はもちろん自分の求めるものも叶えることはできないと。ただ、予算は重要とはいいいつつも一生に一度あるかないかの家づくりですから楽しくいきたいですよね。

そこでお施主さんの要望を最大限に満たしつつ、安価でもカッコいいものや、あまりコストのかからないアイデアをあれこれ考えるようになりました。コストは抑えつつもこだわるところはこだわりたい。そして楽しそうでワクワクしてくる住まいをつくりたい。周辺環境にも配慮して。

「パノラマの家」三角形の敷地に合わせて三角形の建物を提案しました。

価値観は人ぞれぞれ違う

ローコストで家族が求める夢を最大限叶える住まい。そんなことができたら最高ですよね。これが意外とできます! 自分を信じて自分の価値観で家づくりを進められればです。

考えてみると生活のパターンや行動は、家族それぞれ違います。家族という単位ではなく人それぞれで違います。たとえば、朝起きてからの行動、まず何をしますか?

歯を磨きますか? 顔を洗いますか? 水を飲みますか? 

なにをするかは人それぞれ違います。そしてそれをする場所も違います。朝起きてからの行動だけでも十人十色ですから、それを包む住まいが同じもののはずがないんです!

「パノラマの家」高台にあるのでリビングからは17mのパノラマの景色が楽しめます。

自分だけの居心地のよさ、楽しさを見つけよう

住まいを考えるとき、人それぞれ好みがあり、家族構成も違います。建物を建てる場所も違います。土地だけをとってみても広いのか狭いのか、どの方向に道路があるのか、その道路は交通量が多いのか少ないのか。南側に広い公園があって開放的、東側は現在空き地だが将来的に家が建つ可能性があるか。数え上げたらキリがありません。

行動が違い、建つ場所が違い、住む人が違う。すべてが違うわけですから自分を信じて自分の価値観で家づくりをしてほしいと思います。他の人に理解されないこともあるかもしれません、否定されてしまうこともあるかもしれません。ただすべてがもともと違うからそれでいいんです。

たくさんの人が羨ましがる家ではなく、そこに住んでいる家族、自分だけがわかる居心地の良さや住む楽しさがわかればいいんです。それを信じることができれば、いくら予算がなくても夢は叶います!

「断熱箱の住まい」(リノベーション)ローコストを実現しつつ、温熱環境を向上させるため、既存の箱に断熱材の箱を挿入しました。

要望を探るのも建築家の仕事

まず、家づくりは「こういう暮らしをしたい!」という要望が重要です。私たち建築家は、お施主さんが何を求めているのかヒアリングをしながら探っていきます。この要望、意外とわからない方が多いんです。

いざ聞かれるとどう説明していいのか答えられないという方もいますよね。そんな時は普通の日常会話をしながらイメージを探っていきます。BBQ好き、人を呼ぶのが好き、車好き、白が好き、開放感がある空間が好き、外との繋がりやウッドデッキがほしい、など好きなことを会話しているうちに、ぼんやりとイメージが浮かんできます。

その後、住まいのイメージを「敷地」に乗せていくのですが、この敷地とお施主さんの要望をどう繋ぐかはとても重要。たとえば、南側道路ならサンサンと光が降り注ぐリビングでくつろげそうですし、住宅街であれば2階にリビングを配置することで隣地の方との生活が逆転するのでプライバシーを保てるなど、敷地によって提案する内容は変わってきます。

私は独立して約10年経ちますが、設計してきた家を紹介しながら大切だと思ったことや日頃考えていること、よかったこと悪かったことなど赤裸々に書いていきたいと思います。これから家を建てようとしている方、リフォームを考えている方、この先家を建てるかもしれない方に、住まいに対する新しい考え方を持ってもらえたり、何かの参考にしていただけると幸いです。

「縁側の家」家の3分の1を縁側とし、広がりや生活の自由度を高めました。格子の建具により窓全開でも安心して眠ることができます。

荒井 慎司

イン-デ-コード design officeを主宰。1979年2月18日宇都宮市に生まれる。宇都宮日建工科専門学校卒業後、TAKES設計事務所に入社。2008年、独立し、現在に至る。業務内容は、1.住宅、店舗、事務所、インテリアなどの企画、設計・監理、2.リフォームの企画、設計・監理、3.家具のデザイン等。
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