見たこともない建物をどう伝える?

今まで何件か設計させていただいた住まいを紹介してきましたが、今回はどのように私がお施主様に提案しているかを書いていきたいと思います。私が設計する上で意識しているのは、その土地のよさを最大限に活かすこと、お客さまの要望を、想像を超える形でわかりやすく提案すること、です。

人それぞれ住まいに求めるものは違います。土地の形状から周辺環境に至るまで、土地の条件も建物も違うのが当たり前だと思います。生活のスタイルだって全然違うのだから、人それぞれの違う住まいができるのが当然ですよね。今まで書いてきたコラムの中の住まいも、おそらく今まで見たこともない形状や間取りのものがあったかと思います。

ただ、想像を超える見たこともない家を提案する場合、時としてお客様はイメージすることも難しく、なかなか理解されないことも多いです。誰でもよくわからない高額商品を購入するのはとても勇気のいることですよね。

一方、設計者の立場としては、動線計画から窓の位置やサイズ、建物の大きさなどせっかく細かいところまで考えてはいるものの、伝えきれないがために断念させてしまうことはとても残念なことだと思っています。ですので、相当わかりやすいレベルで提案することを心がけています。

3Dの図面で360度見ることが可能!

まず、図面ですが、私は線ではなく立体的な3Dで書いています。ですので、360度どの方向からでも見ることが可能です。3D上で、人目線で建物内を歩きながら説明することもあります。お客さまがわかりやすいということは大工さんはじめ他の職人さんにもわかりやすいので、間違いや勘違い等を防ぐことにもつながります。

3Dで図面を描くことで立体的なイメージを伝えることができます。

模型の提案は空間や奥行きが伝わる

模型での提案もおこないます。こちらは建物形状や高さなどの違いを実際に見ることができますので画面上で見るのとは違い、部屋との関係性や奥行きを感じてもらうことができます。理解してもらえるのと喜んでもらえるのは一番ですね。実際建物が完成してから部屋に飾ってもらっています。凝り性のスタッフがいるので作り込み(すぎ?)の模型は必見です!

模型で説明することで、図面では伝わりにくい空間を感じてもらえます。

プレゼンボードでコンセプトを伝える

その他、提案ボードというものを作ります。何をどう考え、この住まいができたのかという流れみたいなもので、提案する上で最も重要なものになります。たとえば、下記は提案した住まいですが、東と北に道路がある敷地に車を5台駐車したい、将来コーヒーショップをやりたいという要望を受けて「家の周りをぐるぐる回れるドライブスルーのある住まい」を提案しました。

5台の駐車場も確保できますし、将来やりたいコーヒーショップもドライブスルー形式での提供が可能です。西と南は周辺との間があきますので採光やプライバシーの観点からも有利になります。東と北に道路がある土地形状だったからこそ思いついた提案です。

プレゼンボードの資料の一部。多角的な見せ方でイメージを明確にしてもらうことが大切。

提案ボードとはこのような流れを説明するものになります。そして時と場合により動画による提案も行います。季節や時間による光の入り方、照明器具を使用した夕景のイメージなどを時間の流れも含めて感じてもらうことができます。動画に関しては3Dで図面を書いているからこそできる技ですね。

「家の周りをぐるぐる回れるドライブスルーのある住まい」。3D、模型、プレゼンボードを使い、提案しました。

住まい方は人によって当然変わる

提案内容について書いてきましたが、建てる人も違えば、要望も違う、建てる場所も違う、すべてが違うので建つものが違うのが当たり前なんですね。他と違うということは初めて見る形や間取りがあって当然です。

ただ、理解できずに進むのは怖すぎるので、よりわかりやすくお互いのイメージを共有しながら進めていける提案を心がけています。土地、お客様が違えば設計者の考え方もそれぞれで10人いれば10通りの間取りがあり、提案内容もそれぞれです。

自分に合う設計者を見つけよう

直接、話した感じやメールでの文章のやり取り、今はSNS等もありますので、なんとなく設計者の人柄も見えるのではないでしょうか。私が書いているブログの雰囲気から、いい人だと思って問い合わせをしてくれたお客様もいました。設計事務所は敷居が高いと思われがちなのでなんとも言えないところですが、設計の流れを聞いたり提案内容を聞いたりするのは気になるところに何件問い合わせてもいいと思っています。

もし、合わないと思えば、断ればいいのです。直接だと気まずいならメールでもいいと思いますよ。さまざまな情報を駆使し、自分の好みがわかる気の合う設計者を見つけることができたら、とても楽しい住まいづくりができますね。


荒井 慎司

イン-デ-コード design officeを主宰。1979年2月18日宇都宮市に生まれる。宇都宮日建工科専門学校卒業後、TAKES設計事務所に入社。2008年、独立し、現在に至る。業務内容は、1.住宅、店舗、事務所、インテリアなどの企画、設計・監理、2.リフォームの企画、設計・監理、3.家具のデザイン等。
https://in-de-code.net
E-MAIL:info@in-de-code.net