ワンフロアで完結する平屋

ここ数年、平屋の住まいに注目が集まっています。平屋の価値を見直そうという建築会社の動きもみられます。今回は平屋建てならではの魅力について考えていきたいと思います。

平屋は一層構造のシンプルなつくりで、ワンフロアにリビング、キッチン、寝室、水まわりがあります。部屋はすべて廊下を経てつながるので家族が何をしているかを感じ取りながら生活ができます。家族のコミュニケーションを第一に考える方には平屋はおすすめです。

また階段がないことですべての部屋にフラットでアプローチできるのも小さな子どものいる家庭では大きなメリットだと思います。子どもが階段から転落するリスクを減らせますし、炊事や洗濯、掃除など家事をしている間、子どもに目が届きやすくなるので安心です。また高齢者も、バリアフリーの平屋であれば、快適に暮らせます。

庭と室内をつなげる

平屋は外へとつながるドアや窓が多いことが特長です。一般的な2階建てと比べると開口部が大きく広くつくられているので、自然と庭と室内がつながります。室内のどこにいても外の風景を感じることができるのが大きなメリットだと思います。

たとえば平屋ではLDKを中心に、庭とのつながりをいかしたプランが多くみられます。外観を見ても家と庭をつないだデザインはとても美しいものです。建物がフラットなため、外と室内がつながった外観になり、ウッドデッキやインナーテラス、縁側などのつながりを用いることで、独自の景観をうみます。実際、コートハウス(中庭をもつ建物)の秀作は外部をうまく取り込んだ平屋建てに多くみられます。

どの部屋からも外に出られて、庭の景観を楽しめる平屋。風通しも、日当たりもよく、庭と室内が一体化した平屋は機能的なだけでなく、デザイン的にも魅力的だと思います。

自由な間取り設計が可能

プランの自由度が高いのも平屋のメリットの一つです。2階建て以上がある場合、荷重計算を行い、2階以上の重さに耐えられる柱や梁や壁を用いなければなりません。しかし平屋はかかってくる重さが軽い分、設計の自由度が高くなるといわれます。階段も不要なので、延床面積いっぱいの間取りを設計できます。

ただし、コストがかかる基礎、屋根、地盤補強などの面積が増えると、2階建てに比べて坪単価が上がることもあります。また防犯にも配慮が必要になります。

家族みんなが同じ部屋でそれぞれに楽しむ

現代では家族団らんのかたちも変化してきました。昭和の時代は、たとえば茶の間で食事をする、テレビを見る、というように家族で同じことをするのが一般的でしたが、時代とともに住まいに対する考え方も変化してきました。昔ながらの平屋文化をいかしつつ、個人の楽しみ方も尊重した新しいかたちでの空間が今は求められていると思います。

以前のプライバシーを重んじる各個室を仕切った間取りから、各個室は必要最低限にしてLDKなど共有スペースをゆったりと設ける間取り。家族が同じ空間でつながりながらも、個人の時間をそれぞれに楽しむ暮らし方。そんな住まいを望まれる方が増え、新たなかたちの平屋に注目が集まっているのだと思います。「よほど広い土地でもない限り、平屋建てではもったいない」と考える方もいるでしょう。

しかし、ワンフロアであってもプランはさまざまで、スキップフロアや小屋裏などで空間を上手に活用した平屋もあります。新たな住まいをお考えの方は、平屋も検討してみてはいかがでしょうか


●プロフィール

一級建築士 山形 誠
1961年3月生まれ。有限会社山形建築研究所主宰。